資料 NHK ガッテン



NHKガッテン「睡眠薬で糖尿病治療できる」 
医師「番組見たが、ちょっとひどい」

   番組では、ある特定の睡眠薬を飲むことで血糖値を下げる効果のある脳波が強まり、糖尿病が治療できるなどと説明していた。これに対し、J-CASTニュースの取材に応じた専門医の1人が「(番組の説明は)無理があるというか...、ちょっと意味が分からない」と否定的な見方を示した他、話を聞いた数人の医師は、いずれも番組内容に批判的だった。

番組「デルタパワーで血糖値を下げる」
   2017年2月22日放送の「ガッテン!」では、「血糖値を下げる!デルタパワーの謎」と題した特集が放送された。
   番組の冒頭では、熟睡中に脳から出る「デルタ波」という脳波に、血糖値を下げる効果がある、と紹介。このデルタ波の「パワー」を強め、糖尿病を治療する効果があるとして紹介されたのが「睡眠薬」だった。
「デルタパワーで血糖値を下げる新薬」
   こんなテロップと共に紹介されたのが、「2014年に登場したオレキシン受容体拮抗薬」だ。薬の包装の映像をみると、「ベルソムラ」と書いている。これは、製薬会社のMSD(東京・千代田区)が2014年に発売した睡眠薬。番組では、糖尿病患者がこの薬を服用することで睡眠の質が向上し、「睡眠薬で糖尿病が治療できる」(テロップ表記)などと説明していた。
   番組に出演した医師は、この薬について「新しいので安全性が高い」と評価。続けて、
「非常に副作用の心配が少なくなっていますので、糖尿病患者でもわりと気軽に飲める。睡眠障害の患者は糖尿病の発症率が2倍になるので、こういう薬剤を使うことで糖尿病の予防にもなる」
と話していた。なお、こうした医師の発言中には「副作用の心配は少なくなっていますが、医師の指示に従って服用してください」とのテロップが出ていた。
   こうした効能が一通り紹介されると、番組MCの立川志の輔さんは、
「糖尿病、糖尿病予備軍の方、これで安全に血糖値を下げることができます!」
と明言していた。
   番組では「ベルソムラ」の商品名は、テロップやナレーションという形では触れていないが、映像では薬の包装で「ベルソムラ」との表記が確認できる。また、番組で説明された「2014年に登場したオレキシン受容体拮抗薬」という条件に合致する睡眠薬は、ベルソムラしか存在しない(前出の専門医)。

専門医「臨床の現場で問題になっている」

   こうした「ガッテン!」の放送内容に、医療関係者の中には戸惑いや怒りの声を上げる人も相次いだ。睡眠障害が糖尿病による血管障害の原因であるとする研究成果などは公表されているが、「ガッテン!」が指摘する「睡眠薬が糖尿病の治療に効果的」というのは、論理に飛躍があるといった反応が出ている。
   睡眠医学に詳しい都内の精神科医は24日のJ-CASTニュースの取材に対し、
睡眠薬と糖尿病には、ほとんど関係がないですよ。生活習慣の面で、睡眠自体と糖尿病には間接的には関係がないとは言い切れないですが、(番組の説明は)無理があるというか...、正直に言えばちょっと意味が分からない」
と答えた。
   また、都内のある糖尿病専門医は、
「番組は見ましたが、ちょっとひどいですね。常識的に考えて、睡眠時間が短くなればストレスが増加し、食事の量や回数も増えるし血糖値は悪化しますよ。そういう意味では、睡眠と血糖値に関係はあると言えますが、決して『睡眠薬に血糖値を下げる』効果はありません。論理に飛躍がありますね」
と話す。さらに、放送後にベルソムラの処方を希望する患者が増えたとして、
「(番組の内容が)臨床の現場で問題になっていることも事実です」
とも指摘していた。
   また、ベルソムラという睡眠薬の特徴について、要町病院(東京都豊島区)の吉澤孝之院長は、
「これまでの睡眠薬と違って、自然に近い睡眠を促す薬ではありますが、飲んだからと言って必ずしも熟睡できるわけではありません」
と説明する。その上で、「糖尿病が改善したという話は聞いたことがない」とも話していた。

NHK広報局「さまざまなご指摘を受けて、番組の内容を再確認しています」

   この他にも数人の医師に見解を聞いたが、いずれも番組内容に否定的な見方を示した。ブログやSNSで、番組を批判する医師もいる。
   スタンフォード大学の睡眠専門医の河合真氏は23日のツイッターで、
「お金も労力も使って最終的にMSDの利益誘導になり悪質な番組内容」
と痛烈に批判。また、医療関係の投稿が多い、あるツイッターユーザーも「がっつりベルソムラの宣伝です。監修医はMSDとCOI(編注・利益相反)関係にあるんでしょうか?」と厳しく指摘していた。一般の人のツイッターでも、「ステマ疑惑」に触れる人が多く出た。
   J-CASTニュースは24日、NHK広報局に対し、(1)睡眠薬で糖尿病が治療できるという放送内容に根拠はあるのか(2)出演者以外の医師の監修はあったのか(3)ステマ疑惑の声が出ていることについてどう考えているのか――などを取材したが、
「さまざまなご指摘を受けて、番組の内容を再確認しています」
との回答だった。

>リニューアルしてから下品で、妙に断言めいた珍説ばっかりのゴ/ミ番組になったからな
そーかそーか  


あさイチでも沖縄でイノシシ肉生で食えるとか言って保健所に否定されてたな。
NHKは日本人を病気にさせるつもりかな  


厚労省NHKガッテン「糖尿病治療」を問題視 
専門学会も「許されない」抗議文

J-CASTニュース 2/27(月)

 NHK生活情報番組「ガッテン!」が、ある特定の睡眠薬を飲むことで「糖尿病が治療できる」などといった特集を放送した問題をめぐり、厚生労働省が「国民の健康に大きな影響が出る懸念がある」としてNHKを注意していたことが分かった。

 厚労省医薬・生活衛生局の担当者が2017年2月27日、J-CASTニュースの取材に明かした。そのほか、問題の放送については、日本睡眠学会と日本神経精神薬理学会も「看過できない問題点が確認された」として、番組内容に抗議する趣旨の文書を同日に公表している。

■「国民の健康に大きな影響が出る」として口頭注意

 問題となったのは、2月22日に放送された「血糖値を下げる!デルタパワーの謎」と題した特集だ。番組では、糖尿病患者がある特定の睡眠薬を飲むことで、安全に血糖値を下げることができるなどと説明。テロップでは「睡眠薬で糖尿病が治療できる」とも説明していた。(略)


NHKガッテン、再放送を中止 
睡眠薬で糖尿病治療」
行き過ぎ表現で謝罪

J-CASTニュース 2/27(月)

NHKは2017年2月26日夜、生活情報番組「ガッテン!」の22日の放送で、ある特定の睡眠薬を飲むことで「糖尿病の治療や予防ができる」などと伝えた件について、番組公式サイト上に謝罪文を掲載した。

 番組の放送後、医療現場を中心に放送内容を問題視する声が相次いでいた。今回の謝罪文でNHKは「(番組の内容に)行き過ぎた表現があった」ことを認め、「皆様に誤解を与え混乱を招いてしまった」と謝罪している。NHK広報局によれば、28日に予定していた再放送は取り止めるという。
(中略)

 なお、問題となった「ガッテン!」の放送をめぐっては、番組で紹介した睡眠薬をめぐる「ステマ疑惑」も指摘されていた。番組では、製薬会社のMSD(東京都千代田区)が2014年に発売した「ベルソムラ」という特定の睡眠薬を商品名が分かるように取り上げていたことから、

  「がっつりベルソムラの宣伝です。監修医はMSDとCOI(編注・利益相反)関係にあるんでしょうか?」

などと疑う書き込みがネット上に数多く出ていた。

 この点については、スタジオに出演した医師は別の種類の睡眠薬も紹介していたと説明。続けて、番組では「その内容を十分にお伝えできない編集となってしまいました」として、

  「あたかも番組や病院が、この薬だけを推奨しているかのような印象となってしまい、配慮に欠けていました」

と謝罪していた。

 NHK広報局は27日のJ-CASTニュースの取材に対し、「説明が不十分で行き過ぎた表現があった。皆様の誤解や混乱を招き、ご迷惑をおかけしたことを深くお詫びします」とコメントした。

 2月28日に予定していた再放送も取り止め、別内容に差し替えて放送する。また、3月1日の「ガッテン!」の放送中にも、改めてお詫びと説明をする予定だという。


お上や医療界がすごかった!?NHK「ガッテン!」で小野文恵アナによる謝罪を迫られた背景とは…

産経新聞 3/13(月)


NHKが、2月に放送した生活情報番組「ガッテン!」(毎週水曜日午後7時半)の内容の一部について、放送から1週間足らずでスピード訂正&謝罪した。前身の「ためしてガッテン」からだと20年を超える息の長い人気番組で何が起きたのか。

 「糖尿病の治療をするために直接睡眠薬を使うことは認められていません」。3月1日放送の「ガッテン!」冒頭。司会の小野文恵チーフアナウンサー(48)が、前週の同番組で放送した「糖尿病患者が特定の睡眠薬を飲むことで、血糖値を安全に下げることができる」という内容を訂正して謝罪した。2月22日の「ガッテン!」の特集「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」は、放送直後から批判にさらされたのだ。

 「番組で取り上げた睡眠薬は糖尿病への処方が認められていない」「既存の臨床試験データで血糖降下作用が確認されていない」

 たとえば、日本睡眠学会と日本神経精神薬理学会は同27日午前、異議を唱える統一見解を、それぞれのホームページに掲載した。「糖尿病患者に過大な期待を持たせたばかりか、医療現場での混乱を招いている」と憤り、睡眠学会は同内容の文書をメールと郵便でNHKに送ったという。それに先立つ同24日、厚生労働省はNHKに口頭注意した。同省医薬生活衛生局監視指導麻薬対策課が説明する。

 「放送を見た患者から、『あの薬を処方して』と頼まれた医師もいたようだ。睡眠薬が糖尿病に使えるかのようなテロップを流し続けたり、副作用がほとんどないと表現したりする放送内容は、視聴者に誤解を与え問題があると伝えた」

 実際、放送翌日からインターネット上には、医療現場の困惑の声があふれた。「(番組で紹介された睡眠薬の処方を希望する)患者さんがもう3人も来たぞ。『きのうガッテン観たんですよ』って判で押したように言ってたぞ」

 東京都内で開業する糖尿病専門医は「深い眠りを阻害すると血糖値が悪くなるかもしれない、というデータは少ないながらも存在する。が、だから睡眠薬で治療したら血糖値が良くなる、といえるほどの研究はないはず」と指摘。「科学的根拠がはっきりしていない治療法を、さも効果があるように紹介するのはやめてほしい」

 厚労省の注意、医療現場からの批判。「さまざまなご意見をいただいた結果です」(NHK広報局)と話すNHKは、1日の放送に先立ち、2月26日午後8時の段階で、公式ホームページ「NHKオンライン」に「『最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎』をご覧になった皆様へ」と題した説明と謝罪の文章を掲載した。日曜日の夜中だったが、「水曜日の次回放送(3月1日)を待たず、視聴者と関係者らにNHKの見解を迅速に伝えるべきと判断しました」とNHK広報局は説明する。

 日本睡眠学会と日本神経精神薬理学会が異議の見解をホームページに掲載するのが翌27日午前だから、NHKのほうが先んじたことになる。28日午前零時10分から予定していた再放送も、別の回の「ガッテン」に変更し、迎えた3月1日の放送回の冒頭で小野アナウンサーによる謝罪と説明となる。

 だが、小野アナウンサーが謝罪した、この日の特集が、また物議を醸す。「コラーゲン活用法」という特集で、コラーゲンには褥瘡(じょくそう)ケアや血管年齢を下げる効果があると説明。そして「コラーゲンとゼラチンは同じ」だからとゼラチンを使った料理を紹介したのだが、食品関係者らは「論理が飛躍しすぎだ」と指摘する。

 「褥瘡ケア等への効果はコラーゲンペプチドによるもの。放送は『コラーゲンそのもの』と、『それを部分分解したコラーゲンペプチド』とを一緒くたにしている」

 こう指摘するのは、フードファディズム(食品が健康に与える影響を過大に信じること)研究で知られる群馬大の高橋久仁子名誉教授だ。「そしてコラーゲンペプチドの健康効果は、まだ研究途上。それを無視して『体に良いからゼラチンを料理に使おう』と勧めるのは論理が飛躍しすぎている。ゼラチンは優れた食材ですが、万能薬的効果があるかのような変な期待をもたせる番組づくりはいいかげんやめるべき」と手厳しい。NHK広報局は「コラーゲンのほうは、あくまで食品であり薬のような効果は保証されないとテロップなどで何度も繰り返し放送しました」と説明する。

 「昨年、IT大手の医療情報サイトの不適切な健康情報が問題になったが、国民の信頼が高いNHKの人気番組が与える影響ははるかに大きい」

 メディアなどの健康情報のあり方を研究する京都大大学院医学研究科健康情報学の中山健夫教授は、そう指摘したうえで、次のように提案する。

 「健康や医療の情報を扱う場合、複数の専門家の助言や慎重な根拠の確認など、制作者側に何らかのガイドラインが必要ではないか」

 筑波大視覚メディア研究室の掛谷英紀准教授は、より抜本的な対策として、放送界に甘い現状の放送倫理・番組向上機構BPO)を、組織的に見直すべきだと訴える。「前身の『ためしてガッテン』の時代から、情報に疑義が生じたことは何度かあった。テレビ局が同じ問題を繰り返し続けるなら、BPOが実効性のある厳しい処分を下すべきだ。委員の公選制導入など、BPOの具体的な改革を論ずべき段階に来ている」(文化部 平沢裕子)