韓国国家情報院3億円「コメント部隊」組織

韓国国家情報院が3億円をかけ大規模な「コメント部隊」組織=韓国ネットには不満の声

配信日時:2017年8月6日(日)


2017年8月4日、韓国・聯合ニュースによると、 12年の韓国大統領選挙の際、国家情報院が大規模な「コメント部隊」を組織した事実が明らかになり、最大3500のIDを使った「アルバイト部隊」の捜査の行方など、検察の対応に注目が集まっている。

事件の全貌を解明するため、検察の大々的な捜査が予想されるが、「民間人アルバイト部隊」の規模がどの程度に達するのか、彼らの世論操作加担行為を積極的に処罰できるのか、現段階では判断が困難な状況だ。

国家情報院の積弊清算タスクフォース(TF)は、09年に元世勲(ウォン・セフン)前院長就任後、心理作戦の実施及び支援のため国防部長官の下に組織された「心理戦団」で、09年5月〜12年12月に「アルファ(α)チーム」など民間人で構成されたサイバー「外郭チーム」を運営した事実を確認したことを明らかにした。

ネットなどにコメントを書き込む「コメント部隊」が、国家情報院で初めて運営された上に、世論操作を試みた規模も検察が捜査で把握したものよりもはるかに大きかっただけに、大々的な捜査が避けられないという見方が優勢だ。

検察は、数十のインターネットサイトで数百のIDを用い、1900件余りの政治・大統領選挙に関連したスレッドを立ち上げ、1700ものコメントに賛否の意見を掲載するよう国家情報院の職員に対し指示をした容疑で、元前院長を起訴した。

しかし積弊清算TFが確認した全貌はこの規模をはるかに超えており、心理戦団はインターネットのポータルサイトや議論プラットフォーム「アゴラ」で活動するための9つの外郭チームを新設して以来、元前院長の指示で4大ポータル(NAVER、Yahoo Korea、Daum、Nate、現在Yahoo Koreaは閉鎖)担当チームやTwitter担当チームなどを新設・拡大した。

その結果、12年4月以降の外郭チームは、最大30にまで増加。外郭チームのメンバーのほとんどが職業を持った予備役軍人・会社員・主婦・学生・自営業者など保守性向の民間人だった。彼らは最大で3500のIDを使用し、12年だけでサイバー世論操作のために使った資金が30億ウォン(約2億9000万円)に達することが分かった。

この報道を受け、韓国のネットユーザーからは「国民の税金を30億ウォンも使うなんて」「過去の積弊をすっきりと精算してくれ」「現行法で処罰できないのであれば、新たに法律を作ってでも、不当に使われた税金を回収せねばならない」など、世論操作に税金が使われたことへの批判の声が寄せられた。

その他に、「国家情報院は、いつから政治工作を行う場所になったのだ」「国家情報院は、北朝鮮を監視し、スパイを捕まえる所じゃないのか」など、国家情報院に対する厳しい意見もあった。(翻訳・編集/三田)


韓国社会に衝撃!国家情報院の世論操作が発覚 
反日」主導の名物教授にカネ提供も

2017.10.18 ZAKZAK

 ネットニュースにぶら下がるコメント欄が、実は権力機関の意のままに改竄(かいざん)されていたら-。韓国で保守政権の李明博(イ・ミョンバク)元大統領時代(在任2008~13年)に行われた国家情報機関による世論操作の全貌が、文在寅ムン・ジェイン)現政権下の調査で判明しつつある。ネット記事への反応・コメントを意味する「デックル」を組織的に書き込み、世論を誘導する「デックル部隊」に民間人3500人を動員。竹島問題で「独島(韓国の竹島呼称)の守り人」と称され反日運動を主導してきた名物教授への金銭供与などなりふり構わない情報工作が明らかになり、「インターネット先進国」を誇ってきた韓国社会に衝撃を与えている。(外信部 時吉達也)

 ■熾烈な選挙戦の裏で

 「大統領は誰でもできる仕事じゃない。文在寅にやらせるくらいなら、犬や牛に任せておけ」「文在寅の主人は盧武鉉ノ・ムヒョン)元大統領じゃない。金正日キム・ジョンイル)だ」。
 朴槿恵(パク・クネ)前大統領が文氏ら左派勢力に競り勝ち当選した12年大統領選。朴氏の支持を訴えたこうしたコメントは、「デックル部隊」の手によるものだった。
 情報機関である国家情報院(国情院)の内部調査によると、世論操作に協力し、報酬を得ていた者には主婦や学生のほか、テレビ局職員や大企業幹部なども含まれていた。約30のチームで各種サイトを分担したデックル部隊には月額計2億5000万ウォン(約2500万円)もの予算が割り当てられ、参加者には成果報酬として5万~100万ウォンが支払われたという。熾烈(しれつ)な選挙戦が繰り広げられた12年には、総額30億ウォンが世論操作費用に消えていった。
 部隊を指揮したのは、国情院の「心理戦団」の職員だった。本来は北朝鮮による情報工作に対処する部署だが、保守政権の下、逆に積極的に工作活動を仕掛けていった。

 ■「反日」で有名

 民間に支払われた報酬の領収書の束に、ひときわ目を引く名前があった。徐敬徳(ソ・ギョンドク)誠信女子大教授。竹島問題や日本海呼称問題など、各種の反日運動を主導してきた人物だ。
 最近では戦時中の朝鮮人徴用工問題をめぐり、映画の舞台にもなった軍艦島端島長崎市)を「地獄島」と表現する反日広告の発表にも参画。米ニューヨークのタイムズスクエアの電光掲示板に表示した広告映像で、軍艦島とは無関係の写真を使用し、謝罪に追い込まれる問題を起こしたばかりだった。
 国情院の職員は内部調査に対し「数回にわたり、徐教授に報酬を200万ウォンずつ渡した」と証言した。


 徐教授は報道が流れた直後、自身のSNSで「事実無根だ。国情院の職員と連絡はとっていたが、金をもらった事実はない」と全面的に否定。その後、韓国メディアに対し「支援を受け、領収書に署名したことはある」と説明を変遷させ、国情院から受け取っていたのは、デックル部隊とは別の案件での報酬だったと釈明している。
 韓国人の「反日アイデンティティーを絶えず刺激し続けてきた徐氏。真相解明は検察が進めている捜査に委ねられるが、国家に利用された揚げ句、結果として国民から総スカンを食らう事態になったとすれば、どこか哀れみを感じさせる。

 ■政権批判でリスト入り

 李明博政権に少しでも批判的な発言を残すことは、「ブラックリスト」入りを意味した。映画監督、俳優、歌手…。国情院が作成した、82人の氏名が記載されたリストも今回の内部調査で明らかになった。映画や歌番組に起用しようとすれば、関係企業への税務調査をちらつかせたり、視聴者を装って番組スポンサーに大量の抗議メールを送ったりしたという。
 成人向けグラビアとアイドルの顔を組み合わせる合成写真、通称「アイコラ」。国家情報機関は、そんな幼稚な手法による誹謗(ひぼう)中傷にも取り組んだ。「共和国人民俳優 ○○と××主演 “肉体関係”」。絡み合う裸の男女に、左派の立場から政治的発言を行ったため「リスト」入りした俳優と女優の顔写真を組み合わせ、ネット上に拡散させた。
 「それこそ匿名掲示板のクズどもの仕業だと思っていた。まさか国情院が関わっていたとは…」。アイコラの被害者で、李明博政権発足以降8年間にわたりテレビドラマから姿を消していた俳優、文盛瑾(ムン・ソングン)氏は憤りを隠さない。
 国情院の内部調査を受け、検察は捜査を本格化。「心理戦団」の団長を務めた幹部職員など、関係者の逮捕、起訴が相次いでいる。
 「市民の税金で民主主義の基礎を破壊するとは、『国家機関の仮面を被った犯罪集団』といっても過言ではない」。左派の京郷新聞は社説で、国情院や李明博大統領に対する徹底した真相究明を要求。一方、保守系のメディアや野党からは、文在寅政権誕生まで長らく不遇の時代を過ごした左派が、「積弊清算」の美名の下に政治報復に乗り出していると批判を強めている。


韓国情報機関が「対外安保情報院」に改称 
多くの捜査権限が廃止や移管

2017.11.29 21:45更新 産経ニュース
【ソウル=名村隆寛】韓国の情報機関、国家情報院の名称が「対外安保情報院」に代わるほか、職務から「韓国国内の保安情報」が削除され、対共(共産主義)捜査権を含むさまざまな捜査権限が、他の部署に移されたり廃止されたりすることになった。
 国情院は29日、「政治への関与など否定的なイメージから脱皮し、積弊との断絶を通し、国家安保と国益を守ることに専念する」とし、名称変更を含む国家情報院法の年内改定を進める方針を明らかにした。
 改定案では情報収集の範囲を、海外と北朝鮮情報、防諜、対テロ、国際犯罪組織、サイバーテロ、防衛産業の侵害、経済安保の侵害などとしている。「国内保安情報」との用語や、「対共」「対政府転覆」の概念は削除されるという。
 捜査権限の移管や廃止について国情院では、過去の思想がからんだ捜査での人権侵害や証拠改ざんへの反省があるとしている。国情院の捜査に批判的な文在寅政権の意向が背景にあるとみられ、今後、韓国左派勢力などの動きに影響を及ぼす可能性がある。
 国情院は1999年にそれまでの「国家安全企画部」から名前を変えており、名称変更は18年ぶり。