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(朝鮮日報日本語版) 【社説】韓国だけ景気後退、原因は何なのか

5/14(月) 9:08配信   朝鮮日報  

経済協力開発機構OECD)が作成する景気先行指数調査で、韓国だけが唯一9カ月連続の下落を記録した。昨年5月の100.9から下落を繰り返し、今年2月には99.76まで低下した。景気先行指数とは約半年後の景気の流れを予測する指標で、100以下であれば景気後退が見込まれることを示す。一方、OECD加盟35カ国の全体平均は2016年7月から上昇しており、主要7カ国(G7)の平均も過去20カ月で一度も下落していない。OECD加盟国がいずれも景気拡大を続ける中、韓国だけが後退している。

 OECDの指標が発表された同日、韓国経済だけが苦戦していることを示す統計が相次いだ。製造業の常時雇用が3四半期連続で減少し、鉱工業の半数以上で生産減少が5カ月続いた。韓国統計庁の資料によれば、今年1-3月期の50代の失業者は約16万人で、1999年の統計開始以降、1-3月期としては最悪だった。日本では同日、企業の18%が自発的に定年を65歳以上に延長したとの調査結果が示されており、韓国とは対照的だ。日本企業は定年延長の理由として、「人手不足」を挙げた。韓国の中高年は職場を追われ、通貨危機以降で最悪の就業難に直面しているが、日本企業は定年を延長している格好だ。

 韓国政府は先週、文在寅ムン・ジェイン)政権発足1周年を評価し、「困難な内外の環境にもかかわらず、3%成長できた」と自画自賛した。実情とかけ離れた牽強付会だ。現在の世界経済は困難どころか、金融危機以降の10年で最高の好況だ。米国は失業率が完全雇用レベルにまで低下し、景気過熱まで懸念され、利上げで資金供給を締め付け始めた。日本は1990年代初め以降、好調な雇用が続いており、ユーロ圏も予想を超える成長を示している。経済成長の60%以上を輸出に依存する韓国にとっては有利な外部環境だ。それでも景気が回復しないのは、結局は韓国内部に問題があることを物語っている。

 確かに政府のせいだけではない。しかし、世界的な流れに逆らう政策の逆行は、韓国だけが景気後退する大きな原因となっていることは否定し難い。好調な先進国は例外なく構造改革規制撤廃、企業の活性化で経済を再生した。一方、韓国は労働改革を後退させ、企業賃金、税金負担を増やす反企業政策が成長の足かせとなっている。税金で雇用を創出し、税金で経済成長を生むと言っている。税金のアメを使った間に合わせの処方ばかりだ。これでどこから本物の雇用が生まれるというのか。




「七重苦」の韓国車、韓国製造業の縮図

2018/05/11 朝鮮日報

トヨタ自動車は2018年3月期の営業利益が前期比約10%増の2兆1890億円に達し、過去最高を記録するとみられる。品質競争力の回復と円安のおかげで輸出が急増したためだ。日本の自動車輸出は2014年の383万台から昨年は421万台と10%近く増えた。一方、韓国の自動車輸出は292万台から242万台へと17%減った。現代自動車は昨年、営業利益が4兆6000億ウォン(約4700億円)で、2010年以降で最も振るわなかった。今年1-4月にトヨタは米国市場での販売が4.1%伸びたが、現代自は11.6%減少した。日本は自動車産業の競争力確保に向け、07年以降、3カ所に工場を新設したが、韓国は1997年以降、工場を全く新設していない。
 韓国の自動車業界は国内外の販売不振、中国の追い上げ、高コスト・低効率構造、ウォン高など七重苦の危機に直面した。川上・川下の関連産業が最も多い自動車事業は製造業生産の14%、付加価値の11.5%、雇用の12.2%を占める。今年1-3月期には売上高、営業利益、純利益、販売量がいずれもマイナスに転じた。米国と中国でのシェアは毎年低下し、内需市場では輸入車の攻勢に押されている。韓国の自動車産業の高コスト・低効率構造はさらに慢性化した。自動車1台を生産する上での所要時間は韓国の場合、平均26.8時間(2015年)かかり、GM(21.3時間)、トヨタ(24.1時間)よりも長い。一方、既にライバル他社を超えた賃金には、通常賃金の拡大、最低賃金の引き上げも重なった。最悪の危機のさなかでも、労組は賃上げなどを要求し、ストライキを恒例化している。
 韓国の自動車産業は韓国製造業の縮図だ。鉄鋼、造船、ディスプレーなど韓国経済を支えてきた製造業のエンジンが急速に冷え込んでいる。最大の需要先だった中国は韓国製造業を脅かすライバルとなった。労働生産性が低下し、強硬な労組に象徴される労働市場の硬直、企業規制強化などで内部環境が悪化した。現代経済研究院のチュ・ウォン理事は「未来の新産業に幻想を抱かず、現在の主力産業の危機を直視すべきだ。経済政策の立て直しが必要だ」と指摘した。

全洙竜(チョン・スヨン)記者