異なる韓国の思考回路


韓国国会で反日法「歴史歪曲禁止法」を発議

1/18(金) 12:41配信 News Socra 

最悪の日韓関係、反日法がさらにゆがめる恐れ
 文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足して1年8ヵ月、韓日関係が復元力を失ったまま、破局へ向かって疾走している。

 文政権と安倍政権は昨年の秋から、ことあるごとに衝突して来た。まず、昨年10月10日から14日まで韓国の済州島で開かれた国際観艦式で、韓国当局が自衛隊旭日旗の掲揚を認めないことを明らかにしたことで、自衛隊が出席をボイコットする事態が起こった。 

 これにより旭日旗が韓日間の新たな葛藤の懸案として浮上し、韓国国会では「旭日旗などの日本帝国主義シンボルの使用を禁止する法案」など、様々な「反日」法案が発議された。

 続いて10月30日には、韓国大法院が、新日鉄住金に対して、植民地時代の徴用工である4人の原告に対して、一人あたり1億ウォンの賠償を支払う判決を下した。11月29日には、三菱重工業に対しても同様の判決が下されたほか、韓国裁判所で係争中の13件の訴訟で約70の日本企業にも同じ判決が下されるものと予想される。

 さらには、韓国裁判所が関連裁判の訴訟の「消滅時効は2018年10月30日の最高裁確定判決から適用される」という新たな立場を表明したことで、時効満了で訴訟戦に参加できなかった被害者からの新たな提訴も予想される。

 韓国メディアによると、アジア・太平洋戦争犠牲者遺族会に登録された徴用被害申告者および家族は約22万人で、登録できなかった被害者や家族も10万人程度いると推定される。つまり、およそ30万件以上の関連訴訟がこれから相次ぐことは目に見えている。

 そして第3弾が、11月21日に韓国政府が行った、2015年末の日韓慰安婦合意に基づいて、日本政府が10億円(約100ウォン)を拠出し、韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」を解散するという発表である。

 この際、文政権は「財団の解散は2015年の合意に対する破棄宣言ではない」と釘をさしたが、日本はもとより韓国内でも2015年の合意は「事実上破棄」されたものと受け止められた。

 これに対し、安倍首相は「国際的約束が守られないのであれば、国と国の関係が成立しない」と強く批判したが、「慰安婦合意=積弊」という公式に基づく文政権下で、韓国メディアや国民世論は「財団解散=積弊清算」と受け止めた。

 日韓間の葛藤は、昨年末の「レーダー照射」問題でピークを迎えた。2019年12月20日、日本の防衛省が「韓国海軍の駆逐艦海上自衛隊のP1哨戒機に火気管制レーダーを照射した」と発表する前代未聞の事件が発生した。

 これに対し、韓国国防部は防衛省の発表を全面否定し、強い遺憾の意を表明した。以来、両国は軍当局だけでなく、政界までが泥仕合を続けている。米国の仲裁を要請したり、多言語で広報映像を作って国際世論に訴えたりするなど、中傷合戦となった。

 しかし、トランプ米大統領が日韓の問題をわざわざ仲裁するわけがない。結局、今回の事件の「真実」はこのまま埋もれたまま、両国国民の感情だけがさらに悪化していくのみだ。

 より深刻な問題は、米国を軸にして日米韓の三角同盟を構築していた友邦国の両国が、この一連の問題をめぐり、まるで敵国にでもなったかのようにお互いに対する非難と攻撃を続けていることだ。 両国の外交関係者らは外されたまま、両国首脳までが相手を非難する乱打戦となっている。

 1月10日、韓国の大統領府で行われた新年記者会見で、文大統領は徴用工賠償判決などの日韓間の葛藤状況について、「日本の政治家が争点化し、問題を拡散させることは賢明ではない」として、日本政府を批判した。

 文大統領は「(過去の問題は)韓国が作り出した問題ではない。過去の不幸だった歴史のために作られた問題だ」「日本政府はもう少し謙虚な立場を持つべきだ」と述べた。

 同じ日、韓国政界の「ナンバー2」の李洛淵(イ・ナクヨン)首相も、「韓日対立の責任は日本の政治家にある」という見解を表明した。文政権の国政懸案点検調整会議に出席した李氏は冒頭発言で「最近、日本の政治家たちが国内の政治的目的のために自国民の反韓感情を刺激し、利用しようとしているとの見方が韓国にある」と、日本政府の態度を批判した。

 文政権は、現在の日韓間の対立はすべて韓国を植民地支配した日本の「原罪」によって発生し、被害者が満足できない合意や条約は過去の保守政権の「積弊」で、このような誤った約束は守る価値がないと考えている。

 だから、文政権にとっては、慰安婦財団を解散し、元徴用工の個人請求権を認めることこそ「正義」を実現することで、日本政府の反発は「正しくない」ことで「とんでもないいいかかり」なのだ。

 文政権はこの「正義の実現」の一環として、朴槿恵(パク・グネ)政権下で慰安婦合意と徴用工裁判に関与した人物に対する検察の調査を進めている。慰安婦合意を主導した李丙ギ(イ・ビョンギ)元大統領府秘書室長は、多くの容疑で既に拘束され、裁判中であり、尹炳世(ユン・ビョンセ)元外相も徴用工裁判に関与した疑いで検察の捜査を受けている。

 梁承泰(ヤン・スンテ)元最高裁判事は、徴用工裁判など政治的事案に対する裁判をめぐって朴政権と取り引きしたという疑いで検察の捜査を受けており、近く拘束されるものとみられる。外交部庁舎は、徴用工裁判の取引と関連して史上初の検察の捜索を受ける屈辱を味わった。

 韓国の外交部では過去最も人気があった駐日大使館勤務が「忌避対象」1位に浮上するなど、対日外交業務に対する否定的な認識が広がっている。

 昨年の12月、与党の「共に民主党」は「歴史歪曲禁止法」という新しい反日法案を国会に上程した。日本の植民地時代を賛美、歪曲する団体と個人を刑法で処罰するという法案で、具体的には慰安婦被害者をはじめ、日本の植民統治と侵略戦争行為に対して歪曲・賞賛・鼓舞または宣伝する者には2年以下の懲役または2千万ウォン以下の罰金を科すことになっている。

 さらには、このような主張をネット上に流す行為も禁じている。もし同法案が成立すれば、慰安婦問題や徴用工問題に対する韓国内の様々な意見や議論が完全に遮断されるものとみられる。

 自分と違う声を「歪曲」と決めつける硬直した社会の雰囲気と日本通が不在となった韓国外交部の現実こそが日韓関係の足を引っ張っているのではなかろうか。道徳的優越感に満ちている文政権の韓国と、対韓外交を放棄してしまった安倍政権の日本は、これからもますます遠ざかっていくような気がする。
朴英南 (ジャーナリスト 在ソウル)



竹島を考える】レーダー照射、常軌逸した反論…韓国の異なる思考回路

2019/01/18 15:40

 昨年暮れから続く韓国海軍の「火器管制レーダー照射事件」は、新年を迎えても解決の兆しが見えない。日本政府の抗議に、韓国政府が見せた反応は、日本人を驚愕(きょうがく)させるものだった。防衛省が公表した映像を使い、みずからの正当性を主張する論拠とするなど、常軌を逸した行動に出たからだ。(下條正男拓殖大教授)

多くの日本人を驚かせた韓国側の説明
 これは韓国の思考回路が、日本とは異なっていると見なければならない。今回の一件は、日本側関係者に事情が詳しい人材が多かったため、的確な対応が可能であった。これまでの日本には見られない機動力が発揮され、韓国政府も困惑したのであろう。韓国のマスコミも「日本の軍国主義的膨張の本性」、安倍晋三首相が「低下した国内支持率を回復するため」などと、的外れの反応しかできなかった。
 だが、これが竹島問題や尖閣問題、北方領土問題であればどうだっただろうか。竹島尖閣北方領土問題の現場では、韓国や中国、ロシアによる異なる思考回路を経た対応や発言がなされている。残念なことに、日本政府は今回の火器管制レーダー照射事件のように機動力を発揮できなかった。
 日本には、その異なる思考回路を解析する体制が整っていないからだ。準備不足の状態で対処すれば足元を見られ、相手側を増長させるだけである。火器管制レーダー照射事件の発生も、その根底に蓄積された韓国側の反日感情があることは無視できない。
 事件の発生現場は、能登半島付近の海上だという。そこに韓国の海洋警察庁の巡視船と韓国海軍の「広開土大王(クァンゲッドテワァン)」級駆逐艦が出動していたのは、北朝鮮漁船の遭難救助のためで、人道的活動のためだったという。この韓国側の説明には、多くの日本人も驚いた。
 それは2つの理由からである。1つは、人道的救助なら、日本側にも救助を要請してもおかしくはない。ましてや能登半島付近であれば、日本の排他的経済水域EEZ)内である。日本側に救助要請がなされていたのか、私には分からないが、これでは無断で他人の庭に入り、狼藉(ろうぜき)を働くのと同じである。
黄金漁場に入り込む北朝鮮漁船
 近年、日本海沿岸には、北朝鮮の漁船が漂着する事例が多くなった。これが第2の理由である。北朝鮮の漁船が、「大和堆(やまとたい)」という黄金漁場に入り込み、漁労活動をしているからだ。韓国では、しばしばその北朝鮮漁船の遭難が報じられてきた。その救助活動に従事するのが、韓国の海洋警察庁である。
 今回の火器管制レーダー照射事件では、そこに韓国海軍の「広開土大王」級駆逐艦が加わっていた。
 韓国漁船が漁労活動をする大和堆は、1998年の「日韓漁業協定」によって共同管理水域とされた海域である。本来なら、韓国は日本とともに北朝鮮漁船による不法漁労活動を取り締る立場にある。
 それが、韓国海軍の「広開土大王」級駆逐艦までがわざわざ能登半島近くまで出向き、自衛隊機に火器管制レーダーを照射するのは尋常ではない。日本政府が、韓国政府に厳重な抗議をするのは当然である。
 だがこの種の抗議は、火器管制レーダー照射事件が発生する前にしておくべきであった。北朝鮮による日本海での不法漁労については、産経新聞が報道しているが、その北朝鮮の不法漁労に、日本政府が的確に対応してきたとは思えないからだ。
 日本海では海上保安庁の巡視船による監視が全てで、夥(おびただ)しい数の北朝鮮漁船の取り締まりは困難である。そこに今回のように、韓国の海洋警察庁韓国海軍が加わって、遭難した北朝鮮漁船の救助を口実に火器管制レーダーを照射されたのではたまったものではない。
日本の戦術は「一歩前進二歩後退」
 この日本海での外国漁船による不法漁労は、日韓漁業協定が締結されても続き、日本海は「乱獲の海」と化している。島根県議会が「竹島の日を定める条例」を制定したのは、本来、日本の漁場であるはずの「大和堆」を取り戻すためであった。大和堆に「共同管理水域」が設定されたのは、竹島問題の解決を棚上げにして日韓漁業協定が締結されたからである。島根県議会が目指したのは、韓国が不法占拠する竹島の「領土権確立」である。
 昨年11月21日、「憲政記念館」(東京都千代田区)では、竹島問題を早期に解決するための「東京大会」が、島根県議会と「日本の領土を守るために活動する議員連盟」の共催で開催された。
 現状報告をすることになった私は、これまでの日本側の戦術が、「一歩前進二歩後退」だったと苦言を呈した。それは日本政府が関与すると、解決ではなく、問題を複雑にしてしまうからだ。島根県議会が「竹島の日」条例の制定に向かうと、その阻止に動いたのが日本政府である。(これと同じ現象は、政権交代をした民主党政権でも起こっている)
 「一歩前進二歩後退」現象は、島根県がまとめた最終報告書を参考に、外務省が2008年に小冊子『竹島問題を理解するための10のポイント』を刊行したときにも起きていた。韓国側ではそれを挑発と認識して『日本が知らない独島(竹島の韓国側呼称)10の真実』を公開した。だが外務省は反論しなかった。
 日本の文部科学省が学習要領解説書に竹島問題を記載すると、韓国の教育科学技術部は2011年2月、独島教育の指導方針である「小・中・高等学校独島教育の内容体系」を定め、12月には韓国の政策提言機関である「東北アジア歴史財団」が独島教育の副読本『独島を正しく知る』を編纂(へんさん)した。
島根の中学校にはがきを送る韓国の子供たち
 昨年11月、島根県内の中学校に、韓国の中学生たちが「独島は韓国領」とする趣旨のはがきを送って寄こした。その論拠とされたのが『独島を正しく知る』である。この行動力は、日本の中学生とは少し違っている。韓国政府が奨励しているからだ。
 そこで、はがきを書いた中学生に対して日本語と韓国語による返書を送った。中学生たちがそれを読んだか分からないが、韓国のネットの一部と島根県のホームページには、その手紙が掲載されている。
 韓国の子供たちもいつか読む機会があるかもしれない。その思考回路が民族感情で凝り固まった大人たちよりも、子供たちの方が柔軟である。私自身の経験でも、韓国の子供たちは愚かでも偏執狂でもない。日本の子供たちとは違った一種の純朴さがあるからで、それを期待しての返信である。それが大人になると、思考回路が少し変わるようである。
戦略的に臨まなければ対抗措置は挑発行為に
 昨年11月の「東京大会」当日、島根県では『韓国の竹島教育の現状とその問題点』を配布した。これは韓国の『独島を正しく知る』に対する反駁(はんばく)の小冊子で、2020年から始まる日本の竹島教育に備え、島根県が準備したものである。その東京大会の会場には多くの国会議員が訪れ、各党の代表は壇上で「竹島問題」を熱弁した。
 だが国会議員の先生方は、小冊子などには関心がなかったのであろう。その後、誰からも問い合わせはなかった。私としては、15分ほどの現状報告で、韓国側の実態を説明し、「日本側の対応には問題がある」と指摘したつもりだった。しかし会場は、なぜか式典然とした雰囲気になっていた。そこでつい、「竹島問題から卒業したい」と言ってしまった。
 竹島問題のような国家主権に関わる問題は、一地方自治体の島根県や個人がボランティア活動でするものではないからだ。
 思考回路を柔軟にして、戦略的に臨まなければ、その対抗措置は挑発行為となって、相手側を激昂(げきこう)させるだけである。竹島問題と関わって二十余年、
あまりにも戦略なき戦術を目撃してしまった。停年までは、あとわずかである。
     ◇


 【プロフィル】下條正男(しもじょう・まさお) 竹島問題研究の第一人者。拓殖大国際学部教授。平成17年に島根県が設立した「竹島問題研究会」の座長。著書に「竹島は日韓どちらのものか」(文春新書)など。


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