音楽ヤクザ JASRAC

JASRAC理事長、方針批判は「反対のための反対」

7/20(木) 朝日新聞社

音楽教室から著作権料を徴収する方針を決めたほか、BGMを無断で流していたとして理容店を訴えるなど、徴収を強化する姿勢が目立つ日本音楽著作権協会JASRAC)。音楽業界やネットユーザーから批判されながら、なぜ徴収対象の拡大に力を入れるのか。運営の責任者である浅石道夫理事長(66)に聞いた。(赤田康和)

【写真】「クラブなどとの交渉の際、カレーライスを投げつけられた」という浅石道夫理事長


 JASRACは来年1月、楽器メーカーなどが運営する音楽教室約9千カ所から徴収を始める方針で、料率は受講料収入の2・5%の予定だ。

 浅石氏が徴収の方針を最終決定し、公表したのは今年2月。その時期になった理由として、ここ数年の公正取引委員会と対立していた、独占禁止法違反をめぐる問題を挙げる。JASRACは音楽著作権の管理市場でシェア95%超で、公取委は競争相手の参入を排除しないよう改善命令を出していた。浅石氏は昨年9月に命令を受け入れ、「やっと本来業務に専念できるようになった」と話した。

 徴収の方針に、ヤマハ音楽振興会など音楽教室側は反発し、約56万人分の反対署名を文化庁に提出した。だが、「予想の範囲内。反対のための反対もあると思う。誰に何と言われようと正当な権利は主張する」と浅石氏。

 教室側は6月、JASRACを相手取った訴訟を起こし著作権法の解釈を争っている。教室での講師や生徒の演奏は技術を伝え学ぶためで、著作権法が定める「演奏権」は適用されないと主張する。

 だが浅石氏は「法的な検討は尽くしており、百%の自信がある」。カラオケスナックでの客の歌唱を店側の歌唱とみなすという1988年の最高裁判決、いわゆるカラオケ法理」を勝ち取り、それを適用してカラオケボックスをめぐる裁判などで勝訴を重ねるなど「裁判例を築き上げてきた」というのだ。

 著作権法は、演奏権が及ぶケースを「公衆に聞かせる目的の演奏」と定めるが、「カラオケボックスでの一人カラオケも『聞かせる目的の演奏』と認定されている。音楽教室の生徒の演奏も、自分や先生に聞かせるもので、演奏権は働く。講師は教室を運営する事業者の従業員であり、その演奏は事業者の演奏と変わらない」と主張する。

 徴収が受講料の値上がりを生むとの指摘には「自分たちのもうけからは支出せず、エンドユーザーに価格転嫁しようとしている。企業の論理以外の何物でもない」と教室側を批判した。

JASRAC、著作者が自分の作品を使用料請求なしに使える範囲を拡大 音楽出版者との契約がなければ対価を得てもOK

7/14(金)  ねとらぼ

 JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)が、管理委託を受けている楽曲の取り扱いに関わる約款を変更。著作者が、使用料請求を受けずに自分の楽曲を使える範囲を拡大したことを明らかにしました。

【対価を得る場合の利用規模上限】

 これまでは、たとえ自分の作品であっても、対価を得た場合などにはJASRACによる使用料請求が発生。しかし、音楽出版者との契約がない作品に限り、「配信期間が3カ月まで」「複製数1000枚まで」といった条件のもと、請求を差し控えさせることが可能になりました。

 JASRACは6月28日、音楽関係者、弁護士による委員会の審議の結果を踏まえ、著作権信託契約約款の変更を決定。同協会に管理委託を行った著作者が、より自分の意思を反映しやすい内容に改めたとしています。主な変更点の1つとして挙げられている「著作者の自己使用の範囲の拡大」は、著作者が自分の作品を使用したときに発生する使用料請求の範囲に関わるもの。

 従来は、著作者が自分の作品を使用するケースであっても、費用を超える対価を得る場合には、使用料請求が行われていました。しかし、今回の変更により、音楽出版者との契約の有無、指定された利用規模を守れば、JASRACによる請求を受けずに使用できるようになりました。規模の条件は利用形態ごとに定められており、演奏会などでは「入場料×会場定員数」の金額が400万円以下になること、複製物では1000枚、部以下であることとされています。インタラクティブ配信(ダウンロード、ストリーム配信などを指す)の場合は、リクエスト回数が1000回に達するまで、もしくは、配信期間3カ月まで。

 その他の変更では、国外に限定して楽曲の管理委託を行うことが可能に。これは海外の管理団体の多くが作詞、作曲者を演奏権使用料の分配対象としていないことなどに対応したもので、国外ではJASRACに委託、国内では別の管理団体に、と使い分けることができるようになります。また、管理委託範囲を利用形態などによって選択する制度では、選択内容を変更できるサイクルが3年ごとから1年ごとに短縮されました。

ファンキー末吉さんがJASRACとの死闘を執筆へ 「言えなかった全ての事柄」を自費出版するべく支援を募集中

2013年にJASRAC起こした訴訟が終了した今、その内容を書いて出版するプロジェクトです。

2017年07月13日 ねとらぼ

 ロックバンド「爆風スランプ」のドラマー・ファンキー末吉さんが、経営するライブハウスの著作権使用料の支払いについてJASRACと裁判で争っていた件について執筆した書籍「日本の音楽が危ない~JASRACとの死闘2862日~」を出版するべくクラウドファンディングサイトCAMPFIREにて支援を募集しています。

 JASRACは2013年、管理楽曲の演奏禁止や著作権使用料の支払いを求め、ライブハウス「Live Bar X.Y.Z.→A」を経営するファンキー末吉さんを提訴。裁判の結果はJASRAC側の主張が全面的に通り、最高裁判所から上告を却下される形で2017年7月12日に終わりを迎えました。
 そこでファンキー末吉さんは、裁判中は発信できなかった「実際裁判の中で(JASRACが)どんな手法を使って来たのか、そして裁判中だから言えなかった全ての事柄」をすべて本に書こうと、出版社を通さない今回の自費出版プロジェクトを開始。
 また集まった資金は「日本の音楽の危機に立ち向かうため」に使うとしていて、同企画を皮切りにJASRACの「包括契約ブラックボックス」に対しての戦いを始めると宣言しています。

支援は3000円(税込)から可能で、サイン入りの同書籍(250ページ前後予定)がリターンとしてもらえます。他にも5000円(税込)では電子書籍やマル秘映像を収録したオリジナルUSBメモリーがもらえる他、出版記念ライブ招待券なども用意されています。
 目標金額は300万円に設定されていますが、次の戦いのための資金として1000万円を真の目標としています。期間は9月30日まで。訴訟の経緯などの詳細についてはファンキー末吉支援者の会で読むことができます。
(宮原れい)