朝鮮半島の山林


日帝が植えた木」も「日本原産の木」も切り倒せと盛り上がる韓国 「日帝の乱伐」は“捏造”を裏付ける格好に… 

2016.09.08 ZAKZAK

朝鮮半島の山は禿山(はげやま)ばかりだ、と思っている日本人は少なくない。ソウルだけ見ていると、そう思い込むかもしれないが、地方に行けば森林の密度は低くても、樹木に覆われた山はいくらでもある。日本統治時代に、日本人が中心となって熱心に植林をした結果だ。

 ところが、韓国ではいま、「日帝が植えた木だから伐採しろ」だけではなく、「日本原産の樹種だから、引っこ抜いて別の木に植え替えよう」といった動きがあちこちで出てきている。

 「半島に禿山が多いのは日帝の乱伐による」とは、韓国人と日本の日教組の“常識”だが、二重の誤認がある。韓国の森林面積率は63・5%(日本は68・2%)であり、中国の21・2%とは比べものにならないほど高い。

 韓国の国立山林科学院は2009年、朝鮮総督府が1910年に作成した『朝鮮林野分布図』を分析した結果、(1)当時の森林面積は71%(筆者注=北部の森林面積率が圧倒的に高いため)(2)しかし、林木蓄積量は1ヘクタール当たり17立方メートルで、現在の韓国の同103立方メートルの16・5%水準に過ぎなかった-と報告している(聯合ニュース韓国語サイト、09年9月10日)。

 1910年とは、日本統治が始まった年だ。その時点で、半島は地目(ちもく)としての森林面積の比率は高くても、その森林地域はすでに透け透けの状態だった。
そのため災害が多発する。だから朝鮮総督府は植林に熱心に取り組んだ。「日帝の乱伐」とは“捏造加嘘”の極みなのだ。

 総督府が植えた樹種の1つが、日本原産のカラマツだった。朝鮮半島に気候が似た北海道でもよく育ったからだ。

 朴正煕(パク・チョンヒ)政権下の緑化推進事業で、江原道(カンウォンド)・太白(テベク)山の進入路一帯と傾斜地にカラマツが植えられたのも、日本時代の経験があり、かつ苗木の調達が容易だったからだろう。

 太白山一帯の70平方キロは先月、国立公園に指定された。すると、国立公園事務所は「国立公園の地位に日本産樹木は合わない」として、カラマツの伐採方針を打ち出した。同国立公園内のカラマツは50万本。全樹種のうち11・7%を占め、直径1メートル近くに育っているという。

 伐採方針をスクープしたソウル新聞(16年8月25日)は伐採に批判的で、「日本が原産なので木を伐採すべきだというなら、国内の大部分の山にある木を全部伐採しなければならないだろう」とする、専門家の談話を載せている。

 しかし、同様の動きは各地で起きている。

 蔚山(ウルサン)市の大王巌(テワンアム)は見事な松林で有名だが、地元の反日グループは「日帝が軍事施設を隠すために植えたのだから、切り倒せ」と主張している。

 ソウルと大田(テジョン)市の国立顕忠院でも、反日グループがカイヅカイブキ、ノムラモミジ、サワラ、ホオノキなど、日本原産の15種1万8600本を国産樹種に植え替えて「“植物主権”を守れ」と叫んでいる。

 総督府が半島の緑化にどれほど熱心だったか、よく分かる話ではないか。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。