審判団には著名なアスリートがいない
2017/05/11 マクシム・トランコフ「僕はソチオリンピックで脇役のヒーローを演じた」〜その③〜
====一部抜粋====
(エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ)
—ロシア選手権であなたは競技のコメンテーターをやりましたが、あれは難しかったですか?
マクシム・トランコフ:「僕が怪我をして、僕とターニャが競技を休んでいた時に、僕は全てのテレビ中継を見て、ロシア人だけでなく本当にいろいろなコメンテーターのことばに耳を傾けた。
—なぜ続けなかったのですか?
「何故なら、それもオファーが無いことが分かったからだ。フィギュアスケートで勝利したのは、もういつのことだったのか分からないようなアメリカ人たちを取り上げるとすれば、彼らは常に3~4のチャンネルの重要な大会に派遣されている。
コメンテーターとして派遣されるのは次のような人々だ:マイケル・ワイス、タラ・リピンスキー、ジョニー・ウイアー、タニス・ベルビン、チャリー・ホワイト。
フランスの『ユーロスポーツ』が引き入れているのは、ナタリー・ペシャラ、ファビアン・ブルザ。
ロシアでテレビの仕事に就くのは極めて困難だ。僕は昨シーズン、ほぼ全ての大会をコメントしたが、これは全て、タチヤーナ・アナトーリエヴナ・タラーソワのお陰なのだ。彼女がオフィスに行って、説得し、旅費をやっと手に入れたのだ。
ヘルシンキの世界選手権の後、僕が尊敬する人たちがタラーソワに対して批判的な発言をしているのを聞くのは、僕個人にとっては残念なことだ。もしタラーソワを追い出したら、ロシアのテレビにフィギュアスケートは全くなくなってしまうことを、
これらの人々はただ理解していないのだ」。
2017年世界選手権ショートプログラムのマクシム・コフトゥンの演技の解説中、
次のようなやり取りがあり、これに対し多くの批判があった。
アレクサンドル・グリーシン:「誰だって転倒することはありますよ、タチヤーナ・アナトーリエヴナ」。
タチヤーナ・タラーソワ:「いいえ、こんなに毎回転倒しません。毎回ではありません! もし、頭の中に何かがあるのなら、こんな風に転倒してはいけません。頭が寝ている時に、人はこんな風に倒れることが出来るのです。そこで足を引きずってはいけません」。))
—テクニカルスペシャリストになることは考えなかったのですか?
「これについては沢山頼まれたと言える。だってペアスケートでは、審判の仕事が、非常にうまく行っている訳ではないから」。
—ペアだけですか?
「他の種目では、ペア程ではない。本人がペアで滑っていて、現役引退後この仕事に残る人たちはほとんどいない。だからペアスケートのジャッジをするのは、主として元シングルスケーターたちだ。
あのボストンでは、テクニカルスペシャリストの一人の女性は、僕とターニャのツイストにレベル2をつけた。それ以前の全期間を通して僕たちはレベル4、+3をずっと得ていたのに。このエレメントは常に同じように、同じエンターで同じテクニックでやっているのが分かっているのだから、僕はどのように反応すべきだったのか?
僕が(ISUの)試験に受かってライセンスを取得したら、それは良いだろうという話が始まった頃、ゾルコーヴィが突然僕に近づいて来て、どこかにビールでも飲みに行かないかと誘った。僕たちは出かけ、そこでビールを前にしてロビンは語った。
彼も審判団に入るよう誘われたこと、そして断ったことを。
僕たちはこれについてあらゆることを議論し始めたが、ものごとに対し、完全に同じ見方をしていることが分かった。ロビンも僕も、明らかに悪い滑りをしたのに、勝って更衣室に戻る時が何度かあった。客観的に僕たちよりも良い滑りをして、そして負けた人たちの目を、そこでどのように見たら良いのかが分からなかったと。
ロビンとの話の後、僕自身が理解したことは、このシステムの一部になる用意は自分には無いということだった。もし偉大なチャンピオンペアが、僕の眼前で悪い滑りをしたら、僕はそれらをより高く評価することが出来ない。何故なら、自分が身をもって体験したから、それが一体何なのかを知っているからだ。
だから、審判団には著名なアスリートがいないのだと思う」。