韓国のルール順守を期待してはならない

韓国で「元徴用工」が増え続ける理由
被告日本企業は72社に
2019/04/17 07:00
◆取材・文/清水典之(フリーライター

この4月4日、元徴用工とその遺族ら31人は、日本製鉄(旧・新日鉄住金)と三菱重工業不二越日本コークス工業の4社に損害賠償を求める新たな訴訟をソウル中央地裁に起こした。
 これは、昨年10月に韓国最高裁が日本製鉄(当時の社名は新日鉄住金)に賠償を命じた判決が確定して以降、初めての追加提訴となる。
 日本経済新聞の調べによると(2018年10月30日付「徴用工訴訟、70社超が対象に 訴状未着の企業多く」)、これまでに徴用工関連では計960人の原告から15件の訴訟が提起されており、日本製鉄、三菱重工業不二越の他、日立造船横浜ゴム清水建設住友化学熊谷組大林組、フジタ、クボタ、IHI日産自動車宇部興産王子製紙三井金属、森永製菓、三菱電機、鹿島、大成建設古河機械金属パナソニック東芝三菱マテリアルなど、71社に及ぶ日本企業がターゲットにされている。このリストに、新たに72社目として「日本コークス工業」という社名が加わった。
 元徴用工らの支援団体は、4月29日にも光州地裁に追加の集団訴訟を起こすと表明している(4月9日付時事通信)。とどまることを知らない元徴用工訴訟。今後も提訴が続き、元徴用工らの主張が認められていくのか。元在韓国特命全権大使で、外交経済評論家の武藤正敏氏はこういう。

「“徴用工”の定義を定めないまま、募集に応募しただけの人も含めて徴用工と認めているから、我も我もと訴訟が膨れあがっていくのです。元徴用工訴訟の進行を遅らせたとして、日本企業の代理人を務めている韓国の法律事務所を家宅捜査したり、前韓国大法院長(最高裁長官)を逮捕したりと、文在寅政権は露骨に司法介入しているので、それに逆らう司法関係者はいません。どんな判決が出るかは予想がつきます」
 このような事態になっても、文在寅大統領から解決の道を探ろうとする姿勢がまったく見えてこないのは、そもそも彼が「元徴用工訴訟を支援する立場」だからだという。
 実は、一連の元徴用工裁判の仕掛け人は弁護士時代の文在寅氏である。韓国紙・東亜日報は、2018年12月3日付の記事「三菱強制徴用訴訟、文大統領が2000年に初めて提起」(電子版日本語)で、三菱重工業に対する最初の元徴用工訴訟で原告代理人を務めたのは、法律事務所「釜山」の代表弁護士だった文在寅氏だったとスクープしている。日本企業に対する訴訟で先陣を切った人間だけに、「(元徴用工らへの)韓国政府による補償」という解決策を打ち出すわけがない。

 日韓関係の悪化を意に介さない文大統領の本音はどこにあるのか。武藤氏が語る。
「私は駐韓大使として、朴槿恵前政権が誕生した2012年の大統領選中に、有力候補だった文在寅氏に面会したことがあります。私は日韓の経済協力の重要性を説きましたが、文氏は終始無言で、初めて出てきた言葉が、『日本は北韓北朝鮮)に対してどう臨むのか? 南北統一についてどう考えるのか?』でした。要するに、日韓関係がどうなるかは考慮せず、日本が北と良好な関係を結ぶのなら、日本との関係改善をしてもいいという意味だと私は捉えました」
 あくまで“北朝鮮ファースト”で、日本との関係など二の次なのだ。それがもし本当なら、日本は対韓外交を根本から見直す必要がある。



(日本政府が経済のことしか考えていないから、相手を見誤るのでは?
人間の本質を抜きにして、経済活動も成り立たないのに、
相手が日本人と同じように考えると思いこんでいる人が多すぎる。
問題を解決したがるのは日本人の特性で、相手によっては
長引かせて揉めていたほうが自分には得だと考えることが視野にない)


韓国は米国にとっても身勝手で「困った国」になってしまった
真壁昭夫
2019/04/09 06:00

DIAMOND on-line

韓国は日本だけでなく
米国にとっても「身勝手」な国に

 最近、韓国という国は、日本だけではなく米国にとっても“身勝手”な国になってしまったようだ。現在の文政権は国民の不満や恨みの感情を抑えることができず、自国の世論に押されて国際社会の秩序やルールから逸脱しつつあるように見える。
 これまで米国は韓国の“身勝手”に不安を感じつつも、忍耐強く見守ってきた。その背景は、朝鮮半島情勢の不安定化を避けるため、韓国の世論を敵に回すことは適切ではないとの思いがあったことだろう。
 しかし、足元の米国の行動を見ると、韓国の身勝手さに耐えかねて警告を発している。米国は、自国の北朝鮮政策と逆行する韓国の北朝鮮融和姿勢を放置できなくなったとみられる。特に、国際社会が取り組んできた北朝鮮制裁を、韓国は本気で守っていないとの見方がある。それは、米国が大型監視船を韓国に派遣したことからも分かる。
 文政権の認識はかなり危険だ。北朝鮮にとって、韓国が北を支援する状況は時間稼ぎのために実に都合がよい。この状況が続くと、米国が圧力と対話を通して北朝鮮の核問題の解決を目指すことは難航することが懸念される。
 今、韓国では景気が急速に減速している。世論の不満はさらに高まるだろう。文政権は、世論が求める南北の統一や反日姿勢をとらざるを得ない。それに伴い、国際社会の中で韓国の孤立感は一段と高まるだろう。日本政府は国際社会と連携を強化し、自国の主張への賛同を確保すべきだ。

身勝手な行動を
とり続けてきた韓国

 韓国という国を見ていると、大衆の感情の赴くままに動いてきたことが多いように思う。現在、韓国では2つの感情が政治を振り回している。
 1つ目は、言うまでもなく、反日感情だ。世論は、わが国への“怨念”というべき感情を日に日に強めている。本来であれば韓国政府は、1965年の日韓請求権協定によって、日本と韓国両国間の請求問題が完全に解決されたとの立場をとらなければならない。その上で国内の不満には自国で対応するのが筋だ。国家間の合意を順守することは、国際政治の最もベーシックなルールだ。それができなければ、政府間の協議は成り立たない。
 しかし、大統領支持率が最低となる中、文大統領は世論に配慮せざるを得ない。韓国では世論を中心に日本への批判が強まるだろう。
 もう一つが、北朝鮮との融和に関する世論の心情だ。祖国統一は文政権を支持した人々にとって一種の夢なのだろう。文氏としても、世論の求めに応じる姿勢を示し、支持をつなぎ留めたい。そのために文氏は、かなり思い切った行動をとってしまった。
 具体的に、韓国は国連の規定違反を犯してしまった。昨年、韓国は300トンに上る石油製品を北朝鮮に提供した。国連は韓国と北朝鮮の経済プロジェクト向けの物資提供を報告するよう義務付けてきたが、韓国はそのルールを守らなかった。
 3月、国連は、北朝鮮制裁に関する報告書を公表した。その中で国連は、韓国企業がロシア経由で北朝鮮産石炭を輸入していた問題に関する調査を継続すると記している。この問題も、国連の北朝鮮制裁に違反している。そのほかにも、韓国の船舶が北朝鮮の船舶と“瀬取り(洋上での物資受け渡し)”をしていたことへの疑いが浮上している。
 韓国は国連の北朝鮮制裁を遵守しなければならないにもかかわらず、それを徹底できていない。こうした展開をもとに考えると、韓国国内には、「自分たちは何をしても許される」というような、かなり一方的な発想があるように思えてしまう。韓国が北朝鮮制裁を順守し、米国をはじめとする国際社会と歩調を合わせる展開は期待しづらい。

忍耐強く見守ってきた米国
堪忍袋の緒が切れかねない

 米国は、これ以上、韓国が身勝手なふるまいを続けることを容認できない領域に入りつつあるようにみえる。
 米国は北朝鮮への制裁を続け、核兵器の開発をあきらめさせたい。米国の安全保障の専門家らは、これまでの制裁を受けて北朝鮮が疲弊してきた中、最低限、現状の制裁は維持しなければならないと考えている。
 一方、北朝鮮の金委員長にとって、核兵器は体制維持のためのお守りだ。同氏がそれを手放すことは考えづらい。今後も、米国は制裁の維持を念頭に北朝鮮の核問題に取り組むだろう。状況によっては米国が制裁を強化することもあり得る。
 しかし、文政権の考え方は米国とは大きく異なる。政権内では、制裁を解除し開城(ケソン)工業団地の稼働や金剛山観光の再開を求める声が増えてきた。それは、韓国が米国の北朝鮮政策を牽制し、批判しているようにさえみえる。第2回米朝首脳会談が物別れに終わったことも重なり、文政権内では北朝鮮との共同経済プロジェクトの推進を求める声が一段と増している。
 米国は一方的に北朝鮮との融和を推し進めようとする韓国を、本当の意味で信用できなくなりつつあるのだろう。そうした状況が進むと、米国は韓国と連携して北朝鮮政策を進めることは難しくなる。米国政府内では、北朝鮮との融和を目指す韓国の前のめり姿勢への不安が高まっているはずだ。
その考えに基づき、米国は、北朝鮮の“瀬取り”監視のために韓国に大型警備艇を派遣した。「韓国に北朝鮮の制裁逃れの監視を求めたとしても、効果は期待できない。もはや米国自ら能動的に行動し、制裁逃れを取り締まらざるを得ない」というのが、米国の本音だ。
 すでに北朝鮮は、中国やロシアとの関係修復と強化に取り組んでいる。韓国の北朝鮮融和姿勢がさらに強まると、米国が北朝鮮との交渉を進めることは従来に増して難しくなるだろう。米国にとって、韓国の北朝鮮融和姿勢は、政策運営を阻害する要因と化している。わが国だけでなく、米国にとっても、韓国への忍耐は限界を迎えた。

韓国の国際秩序順守を
期待してはならない

 もし文政権の取り組みが見込めたなら、米国は口頭で韓国に監視強化などを求めただろう。そう考えると、米国が警備艇を派遣したマグニチュードは大きい。米国だけでなく国際社会においても、韓国が国際社会の秩序やルールを守ることは期待しづらいとの認識が増えるだろう。
 今後のポイントは、文政権が、自国が厳しい状況に直面していることを冷静かつ客観的に理解できるか否かだ。結論を先に述べると、文政権がそうした認識を持ち、実際に行動に移すことは難しいだろう。
 世界的な半導体需要の低下を受けて、韓国の輸出は急減している。中国は半導体製造能力の増強に注力している。中国向けの半導体輸出を中心に収益を稼いできたサムスン電子の業績は悪化傾向をたどる可能性が高い。それは、韓国の景気失速に直結する問題だ。文政権が経済を立て直し、民衆の不満を解消することは困難と考える。
 韓国の政治は従来以上に世論に迎合せざるを得なくなるはずだ。日米と韓国の関係は一段と冷え込む恐れがある。文政権は米国との関係悪化への危機感から米韓首脳会談の開催にこぎつけたが、文氏が米国の不信を解消することも難しい。韓国内の北朝鮮融和支持派は、文氏が米国の主張に同調することを許さないだろう。文氏がこの状況をどう立て直すことができるか、妙案は見当たらない。
 米韓の関係が急速に冷え込む中、日本は自国の主張に賛同する親日国を獲得し、極東情勢の安定を目指さなければならない。現在のところ、アジア新興国に加えEUも、日本に経済連携の推進を期待している。わが国は、その期待に応えなければならない。
 政府は、安全保障面では米国との関係を基礎にし、より大規模な経済連携を進めることが必要との認識をアジア新興国などと共有しなければならない。そのために必要な支援は積極的に行えばよい。
 それは、わが国が国際世論からの支持を得ることにつながる。
 韓国の一方的な要求や批判を抑えるためにも、日本が経済連携などに関する議論を通して国際世論からの理解と賛同を得ることが重要だ。
(法政大学大学院教授 真壁昭夫)



WTOで日本に「逆転勝訴」の韓国がお祭り騒ぎ
右田 早希
2019/04/13 06:00 JBPRESS
(右田早希:ジャーナリスト)
「韓国国民が期待を寄せていた文在寅大統領とトランプ大統領の韓米首脳会談は、北朝鮮問題を巡って、まったくの物別れに終わりました。それだけに文在寅政権は、国民の批判の目をそらそうと、躍起になって『判決』を宣伝しているんです」(在ソウルのジャーナリスト・朴英南氏)
 スイスのジュネーブにあるWTO世界貿易機関)の上告委員会は、現地時間の4月11日午後5時過ぎ(日本時間12日深夜0時過ぎ)、韓国による日本産の食品輸入禁止措置を「不当とは言えない」とする最終判断結果を発表した。

1審は日本の完全勝利だったが・・・

 この紛争はもともと、2011年3月の福島原発問題で、世界54カ国・地域が、福島県産食品などに輸入禁止措置を取ったことに端を発する。各国・地域はその後、規制を緩和していったが、当時の朴槿恵政権は、日韓関係の悪化の影響もあって、2013年に逆に規制を強化。福島、青森、岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の8県産のすべての食品や水産物に拡大したのだった。
 これを不当とする安倍晋三政権は、2015年に、韓国をWTOに提訴。昨年2月に1審にあたる紛争処理小委員会は、「韓国の輸入規制はWTOルールに違反する」として、韓国に対して是正勧告を出した。完全な日本の1審勝利だった。
 韓国はこれを不服として、2審にあたる上級委員会に上訴した。そして今回は、韓国が「逆転勝訴」したのである。今回の発表がWTOとしての「最終判定」にあたるため、30日以内にWTOの全加盟国会合で示されて採択、確定することになる。
 この結果に、韓国は12日、まるで鬼の首を取ったようなお祭り騒ぎとなった。文在寅政権からマスコミ、市民団体まで、これまでの日本に対する鬱憤を晴らすかのように、「WTO判定」を祝ったのだ。

久々に韓国が「国際的に」日本に勝利?

 例えば、『CBSノーカットニュース』は、「朴槿恵政権の『疑問の1敗』に痛快な復讐・・・『WTO2審 神の一手』」という大仰なタイトルで、次のように報じた。
<韓国が日本の福島産の水産物に、輸入禁止措置を出していることに対するWTOの貿易紛争で、逆転勝訴した。それに対するわが国民の歓声が、さらに一層熱くなっている。
 日本では今回の判決が「神の一手」だとして、わが政府の対応を激賛している。判決前までは、日本メディアは勝訴を確信していたようで、勝訴した後の計画についての報道まで出ていたほどの状況だった。それがこのようなことになった。
 日本の『産経新聞』は11日午後、「輸入再開の決定が出て、日本の勝訴となる公算が高い」と予測。「輸入禁止措置の是正勧告が出れば、韓国側は15カ月以内に輸入禁止措置を解消しなければならない。韓国が是正措置を取らない場合、日本は被害額までの関税引き上げを要求できる」と報道していた。
 しかし、日本の敗訴の結果が出るや、『朝日新聞』は12日午前、「勝訴に力を得て、他国・地域にも輸入規制の緩和を要求しようとしていた日本の戦略にも、影響を及ぼすことになる」と報道した。
 韓国が敗訴した場合、韓国の例を根拠にして、他国にも福島産の水産物の輸入を要求しようとしていた計画は、挫折が生じたのは確かなようだ>
 文在寅政権がこのところ、異常な反日攻勢を行ってきたのは、周知の通りだ。だが、慰安婦財団解散、旭日旗掲揚拒否、レーダー照射、徴用工判決、天皇への謝罪要求・・・と、ことごとく国際的には「失笑」を買ってばかりだった。それが今回、久々に「国際的に」日本との争いに勝利したのである。
 冒頭の朴記者が続ける。
「折からの経済悪化によって、週末のソウルといえども、いつもは暗い雰囲気なんですが、12日の晩はレストランも飲み屋も、『対日勝利の乾杯』に沸いていました。
 韓国で誰よりもホッとしたのが、文在寅大統領だったと思います。重ねて言いますが、WTOの『判決』とほぼ同時刻に、ホワイトハウスで行われていたトランプ大統領との韓米首脳会談は散々で、文大統領が帰国後、国会で糾弾されるのは目に見えていました。それがこの思わぬ『対日勝利』によって、『文大統領はワシントンでは失敗したけど、まあ許してやるか』という感じになっているのです」

いまだ23カ国・地域が輸入禁止措置

 ともあれ、日本はなぜ「逆転敗訴」したかということを、きちんと総括し、反省してみることが必要だろう。「日本勝訴」の1審が覆ったのだから、日本側にも何らかの戦略ミスがあったに違いない。12日には、菅義偉官房長官河野太郎外相も、「負け惜しみ」のような苦しい弁解をしていたが、あのような態度は、とても格好いいものではない。
 実際には、福島原発事故から8年を経ても、いまだに韓国だけでなく、23カ国・地域で輸入禁止措置を取っているのだ。
 例えば、近隣諸国・地域を見ても、台湾は、昨年11月に住民投票を実施し、「福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県産の食品は最低2年間、禁輸を継続する」という決定を行っている。中国は、福島、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、新潟、長野の1都9県の食品の輸入を全面的に禁止してきた。昨年10月に安倍首相が訪中した際、改善を要求。中国側は見直しを約束したが、昨年11月28日に、中国人に人気が高い新潟米の輸入を解禁したのみだ。
 各国・地域に輸入禁止を解除してもらうには、政府としてのもっと積極的な対策が必要だ。
 生産者や漁業関係者には厳しい状況が続くが、消費者の立場に立てば、福島近海のホヤも、会津産の銘酒も、値段が吊り上がらず、他国に渡さずに日本人がしこたま味わえる。考えようによっては、悪いことだけではない?


〈「慰安婦」から「徴用工」まで論じ尽くす〉「日韓断交」完全シミュレーション【文在寅反日編】ーー文藝春秋特選記事

4/9(火) 6:00配信 有料
文春オンライン

日韓関係が最悪といわれる。過去にも“最悪”はあったが、今回は日本側で韓国への不満や怒り、批判、不快感が広がっているという特徴がある。その結果、一部では韓国に対する制裁、報復論から国交断絶を主張する声まで出ている。

 歴史を振り返ると日本は昔、いわば征韓論で韓国(朝鮮半島)に引き込まれ、深入りした結果、今なおその歴史のツケに悩まされている。ここは感情論ではなく、冷静に現状を分析し、より賢明な付き合い方を探る必要がある。

 そこで、韓国経験のある各界の識者に日韓関係の現状とその背景、今後を語ってもらった。

 寺田輝介氏は駐韓日本大使(2000~2003年)やフォーリン・プレスセンター理事長を務めた元外交官。高杉暢也氏はビジネスマン(韓国富士ゼロックス元会長)出身で、韓国駐在日本企業・日本人の組織であるSJC(ソウルジャパンクラブ)の理事長でもあった。福山隆氏は韓国駐在武官(1990~1993年)を経験した元陸将。退役後、米国ハーバード大アジアセンターで研修した軍事インテリジェンス・戦略論の専門家。新潟県立大学教授の浅羽祐樹氏はソウル大で学び、韓国の政治・社会に通じた気鋭の政治学者である。

◆◆◆

黒田 この3月で日本統治時代の朝鮮で起きた3・1独立運動から100周年ということもあり、このところ韓国では“反日ムーブメント”が盛り上がっているように見えます。

 実際、昨年から韓国は立て続けに日本を刺激する行動を取ってきました。10月に大法院(最高裁)がいわゆる徴用工問題で新日鉄住金に賠償を命じる判決を出したかと思えば、11月には日韓慰安婦合意に基づく財団は一方的に解散させられてしまう。さらに12月に韓国海軍の駆逐艦海上自衛隊の哨戒機にレーダー照射するという異常事態まで起きた。海上自衛隊は韓国から先に自衛隊旗(旭日旗)を拒否されてもいます。きわめつきとしては、2月7日、文喜相(ムンヒサン)国会議長が慰安婦問題で「天皇戦争犯罪の主犯の息子ではないか」と公言し、陛下の謝罪を要求した。これで日本世論に反韓嫌韓ムードがさらに広がりました。

 日本社会は今、一方的に韓国から“理不尽な文句”を付けられ多くの人が腹を立てています。「報復制裁すべし!」「断交すべし!」と主張する強硬派も増えています。

 そこでまず実際に制裁・断交したらどうなるのか。皆さんでそのシミュレーションをするところからこの座談会を始めたいと思います。

(この記事は、文藝春秋4月特別号「日韓断交」完全シミュレーションの前半
親日清算」までの公開となります。) 本文:8,317文字

現代韓国人の国民性格
著者:李符永(ソウル大学教授)より転載
 
・依頼心が強く創造力がない。
・すべきことをせず他人に期待し裏切られると恨んだり非難する
・相手も自分と同じ考えだと思い「違う」と分かると裏切られたと思う
・せっかちで待つことを知らず「今すぐ」とか「今日中」とよく言う
・すぐ目に見える成果をあげようとし効果が出ないと我慢せず別の事をやろうとする
・計画性がない
・自分の主張ばかりで他人の事情を考えない
・見栄っ張りで虚栄心が強い
・大きなもの派手なものを好む
・物事を誇張する
・約束を守らない
・自分の言葉に責任をもたない
・何でも出来るという自信を誇示するが出来なくても何とも思わない
・物事は適当で声だけ大きくウヤムヤにする
・綿密さがなく正確性に欠ける
・物事を徹底してやろうとしない
・見てくれに神経を使う「世界最高」とか「ブランド」に弱い
・文書よりも言葉を信じる
・原理原則より人情を重んじ全てを情に訴えようとする